中日ドラゴンズのブログだが、話を漫画の世界から始めよう。
『ワンピース』の世界では、数百年間に渡り天竜人や世界政府により支配されてきた歴史が変わる事を「世界の夜明け」と呼び、それを実現する者、つまり「世界を夜明けに導く者」の出現が待ち望まれている。
主人公のモンキー・D・ルフィは、周りの人々を次々と味方に変える“太陽のような” キャラクターと揺るがぬ強い信念を武器に、海賊王を目指し世界政府に挑み続ける、まさに「世界を夜明けに導く者」としての冒険を続けている。
ちなみに、“D” の名前を持つルフィは、天竜人や世界政府の「天敵」とされる「Dの意志」を受け継ぐ一人であり、その“D” の意味は「夜明け(Dawn)」の“D” である可能性が高いとされている。
「世界の夜明け」が、“D” の名を持つ“太陽のような” 男・ルフィによってもたらされようとしているのは、この物語の根幹にある重要なメッセージなのであろう。
さて、本題は中日ドラゴンズの話だ。
昨シーズン、8年ぶりのAクラスを勝ち取り「世界の夜明け」ならぬ「セ界の夜明け」に向けた第一歩を踏み出したドラゴンズ。
そのドラゴンズにも、主人公ルフィと同じく“太陽のような” 存在感を示す男がいる。それは、筆者が最も熱い応援を送る選手、そう、愛知東邦高校出身の22歳・藤嶋健人投手(2016年ドラフト5位)である。
藤嶋投手を“太陽のような”と表現する理由は、もはや説明不要であろう。東邦高校時代から現在に至るまでの彼のグラウンド上の仕草や表情を見れば、筆者の言わんとしていることは伝わるはずだ。
筆者は、藤嶋投手こそ「セ界を夜明けに導く者」であると、信じて疑わない。ドラゴンズファンとして、太陽の見えない暗闇を過ごす時間は、もう十分だ。夜明けを待ち侘びていた。
そんな藤嶋投手を、先日のラジオで阿波野ピッチングコーチが、今シーズンのキーマンに指名していた。
その時の言葉を借りると、『一球に懸ける重みを理解すれば、藤嶋投手は覚醒する』。
振り返れば、2019年シーズン、中継ぎで21試合連続無失点を記録するなど素晴らしい成績を残した藤嶋投手。
ところが、自信を持って臨んだはずの2020年シーズンは、結果もさることながら、ストレートが高めに抜ける場面が目立ち、投球内容が著しく悪化。
勝ちパターンとして登板する機会はほとんどなく、チームのAクラスに貢献したとは言えない、残念な結果に終わった。
そんな藤嶋投手に対して、復活の期待をかける阿波野コーチだが、その期待に応えるためには、最低限2019年シーズンの状態を取り戻さなければいけない。
課題は明確で、本来、打者がタイミングを取りづらい投球フォームを武器としていたが、昨シーズンは打者の反応が全く違った。
本人も認識しているようで『投球フォームをコンパクトに』がオフの合言葉である。
その上で、前述のコメント『一球に懸ける重みを理解すれば、藤嶋投手は覚醒する』である。
藤嶋投手の持ち味はなんと言っても「投げっぷりの良さ」にある。テンポの良い間合いでストライクゾーンに投げ込んでいき、打者を差し込んでいく。
しかし、裏を返せば一球一球が「軽い」とも言える。特に昨シーズンは、警戒心無く投げたような甘いボールを、簡単に長打されるケースが少なくなかった。
失点の許されないセットアッパーを狙う投手としては、阿波野コーチの言葉が的を得ていると言えそうだ。
良い手本はチーム内にいる。
それは「一球入魂」の男・祖父江大輔投手である。阿波野コーチが言う「一球に懸ける重み」とは、まさに祖父江投手の意識ことを指しているのではなかろうか。
主人公・ルフィは、自身を上回る敵に立ち向かうために、海賊王ゴールド・ロジャーの右腕であった“冥王”シルバーズ・レイリーから「覇気」を学んだ。
レイリーと同じ特徴を持つ「長髪と髭の男前」であり「眼光鋭い覇気使い」である祖父江投手から「一球に懸ける重み」を伝授された時、藤嶋投手の能力は覚醒するのであろう。
ちなみに、主人公ルフィは、同時期に頭角を現した総勢12人の新鋭海賊たちと共に「最悪の世代」若しくは「新世代」と呼ばれている。
筆者は、それに倣い、主人公・藤嶋投手が率いる若き世代の選手たちを「ドラゴンズ新世代」と呼ぶことにしている。
将来が嘱望される、石橋康太選手や石川昂弥選手たちのことである。もちろん、“キャプテン”石垣雅海選手や、“死の外科医"根尾昂選手もその一員である。
果たして今シーズン、「ドラゴンズ新世代」の旗手である藤嶋投手が「“D”の一族」ならぬ「“D”ragonsの一員」としてチームを「セ界の夜明けに導く」ことができるのか。
つまらないオフシーズンも、もう終わり。
さぁ、いよいよ待ちに待った、キャンプインだ。