いよいよだ。
待ちに待ったプロ野球2020年シーズンが、明日開幕する。
選手にとってもファンにとっても開幕戦は特別である。
オフシーズン5か月分の準備と我慢が解き放たれる場である。
(今年はなんとオフシーズン8か月!!)
しかしながら、少し立ち止まり冷静になり、改めて開幕戦の重要度を考えてみる。
昨年ドラゴンズは、開幕戦の対ベイスターズ戦に敗れ、シーズンのスタートを切った。
ところが、その後ズルズルと連敗するわけではなく、4月終了時には13勝13敗でセ・リーグ3位というまずまずの位置に付けていた。
ところが、6月終了時には首位と8.0ゲーム差の5位と、完全に力の差を見せつけられ、最終的には9.0ゲーム差の5位という結果に終わった。
優勝チームの開幕戦はどうだろうか。
昨シーズン(2019年)の優勝チームであるジャイアンツは、開幕戦カープに敗戦。
2018年の優勝チームであるカープは、開幕戦ドラゴンズに勝利。
2017年の優勝チームであるカープは、開幕戦タイガースに敗戦。
2016年の優勝チームであるカープは、開幕戦ベイスターズに敗戦。
2015年の優勝チームであるスワローズは、開幕戦カープに勝利。
意外にも、過去5年の優勝チーム開幕戦の戦績は、2勝3敗で負け越している。
三連覇を果たしたカープも、3シーズン中2シーズンは敗戦スタートだ。
ここから分かるのは、開幕戦が心理的な意味で特別であることは間違いないが、こと勝敗に関しては、開幕戦もシーズン120試合中の1試合に過ぎないということである。
当たり前といえば当たり前だが、改めて認識をしておきたい。
勝敗がさほど重要ではないとすると、開幕戦で大切なのはものは一体何なのか。
それは、開幕戦が「シーズン優勝を果たすための強いチーム作りのスタート地点」であるということだ。
もちろんキャンプ・オープン戦もスタート地点であることは間違いないが、実戦と練習は大きく異なる。
シーズン終了後にトップに立っているには、シーズン中にチームがパワーアップしていかねばならない。
では、具体的にドラゴンズの開幕戦で必要なこととは?
取り掛からなければいけない課題は多いが、その1つに「新勝利の方程式の確立(ロドリゲス投手が抜けた穴を埋める)」がある。
昨シーズンもジャイアンツの中川投手やタイガースの島本投手といった、シーズン開幕後に頭角を現し、チームを支えた救援投手がいた。
ドラゴンズも福・藤嶋両投手は昨年開幕ベンチ入りをしていなかった。
怪我などで開幕に間に合わなかった等の個別事情はあるかと思うが、本当に活躍できる選手というのは、シーズンが始まってから分かってくる。
そこで、ドラゴンズ開幕戦のポイントとして挙げたいのが「初登板投手の起用タイミング」である。
この2名は、課題である「新勝利の方程式の確立」に絡んでくる可能性が高い。
橋本投手にとっては、練習試合で屈辱の10失点を喫した神宮球場が舞台。
首脳陣としては、初登板は苦しい場面ではなく点差のついた楽な場面で起用したいと考えるのが普通である。
しかしここは敢えて言いたい。
「開幕戦で起用する覚悟を持て」と。
なぜなら、開幕直後であるほど、各チーム「勝利を諦める試合」などほとんどない。
そんなに簡単に楽な場面などやってこないのだ。
昨シーズン、開幕ベンチ入りした佐藤優投手が中々登板機会を与えられず、開幕8試合目にしてようやく初登板をした例は、まだ記憶に新しい。
(ロドリゲス投手は同じ日に早くもシーズン6試合目の登板をしている!!)
初登板に慎重を期すぎると、起用できる中継ぎ投手が限られてしまい、ブルペン陣のバランスとリズムを崩す。
そればかりか、「本当に実践で活躍できる投手なのか」という見極めが遅くなり、当然登板できないその投手の成長も遅くなる。
首脳陣は腹を括って、初登板投手を開幕戦から積極的に投げさせる意識を持ってもらいたい。
仮に打たれたとしても、それが「新勝利の方程式の確立」の第一歩なのだ。
開幕戦までの道のりは本当に長かった。
今シーズンは尚更に長かった。
しかし始まってしまえば、翌日には第2戦があり、翌々日にはすぐ第3戦がやってくる。
開幕戦の勝敗にこだわり過ぎず、「シーズン優勝を果たすための強いチーム作りのスタート地点」としてを戦えるか。
そして、少しでも早く「新勝利の方程式」を構築できるか。
開幕戦、別に負けても良いじゃないか。
それよりもシーズンを制することの方がよっぽど大事だ。
”負けてなんぼの開幕戦”
明日18時、神宮球場でプレイボールだ。
(雨降るな!!)