また少し寄り道してしまいましたが、本ブログでは、キャンプから現在までの中日ドラゴンズアカデミー賞を発表しています。
これまで発表済みの各賞受賞選手は以下の通りです。
■新人賞:岡野 祐一郎 投手
■ベテラン・中堅選手賞:石川 駿 選手
■若手選手賞:石橋 康太 選手
■ゴールデンラズベリー賞:小笠原 慎之介 投手
■助演選手賞(1人目):武田 健吾 選手
残る賞は、助演選手賞(1名)と主演選手賞(1名)です。
本日は2人目の助演選手賞を発表したいと思います。
■助演選手賞(2人目)
福谷 浩司 投手
キャンプ2軍スタートでありながら、強烈な結果と内容を残し、最終的には開幕先発ローテーション候補に浮上した福谷投手。
中継ぎ投手として実績のある福谷投手だが、近年は結果が出ないシーズンが続き、昨シーズンから先発へ転向した。
しかし昨シーズンも怪我などに苦しみ、結果としてはプロ初先発となった1試合の登板に終わった。
そんな先発としての実績に乏しい福谷投手が、キャンプから結果を残したといえども、開幕先発ローテーション候補に浮上するほど評価が高いのはなぜだろうか。
その答えは、プロ初先発となった昨年唯一の登板試合の内容にある。
強力広島打線相手に150キロ超の速球を連発。
6回1失点の圧巻の投球内容を見せた。
これにはドラゴンズファンすらも驚き、その後の活躍を大きく期待させるものだった。
しかしその後、椎間板ヘルニアを発症しすぐに戦線離脱。
そのままシーズン終了となった。
その怪我の影響もあり、今シーズン、キャンプは2軍スタートとなった。
キャンプでは、昨年不整脈により同じく悔しい思いをした笠原投手と競うように、2軍の練習試合に早い段階から登板。
昨年の登板がまぐれではないことを、文句のつけようのない結果で首脳陣に印象付け、オープン戦終盤には見事1軍での先発機会を勝ち取った。
例え開幕先発ローテーションから惜しくも外れてしまったのしても、キャンプからこれまでの活躍は、疑いなく助演選手賞に値するものだったと感じ、福谷投手を選出することとしたい。
中継ぎで実績を残すも、結果が出なくなり先発に転向した福谷投手。
そんな福谷投手とキャリアが重なる投手として、元読売ジャイアンツ山口俊投手の実績を振り返りたい。
山口投手が先発に転向したのは、高卒で横浜に入団してから9年目、2014年シーズン、自身27才のときである。
福谷投手は昨年28才だったので、転向した時期も似ている。
2016年、自身29才のときに初めて二桁勝利を挙げた山口投手。
翌シーズンに巨人へFA移籍を行い、キャリアハイは昨シーズン、32才で15勝を挙げ最多勝を獲得した。
技術的なことではないが、両投手に共通して感じることとして、素晴らしい豪速球を持ちながら、どこかマウンド上で不安な表情を浮かべるところがある。
特に、救援失敗を繰り返し半ば自信喪失気味であった時期は、その表情にファンの気持ちも不安になったものだ。
そんな中、無失点に拘らず、最少失点で試合を作る先発という役割は、両投手の不安を取り除くには最適な方法だったと考える。
ちなみに、現在のドラゴンズ中継ぎ陣で最も不安な顔をしているのは鈴木博志投手。
個人的には、球種を増やし先発への転向を一早く進めてほしいと思っている。
福谷投手の技術的な点でいうと、昨年門倉コーチのアドバイスで、投球ステップの幅を縮めたようだ。
入団当初から、素人目にも投球ステップをかなり広くとり、沈み込むように投げていた福谷投手。
ステップを狭くしたことで、投球に角度が付き、また足が着地してからリリースするまでの溜めが少し生まれたのではないだろうか。
余談だが、近年、オリックスの山本由伸投手に代表されるように、投球ステップを短めにし、(右投手であれば)左足を突っ張り棒のように使い、その反動で上半身に勢いを与える投球フォームが増えてきた。
マウンドが硬くなってきた影響だろうか。
中日の大野投手、また上原投手を真似ている藤嶋投手のフォームもその部類にはいる。
ストレートに勢いがでるフォームだが、上原投手の引退理由の1つである左膝への負担には気をつけてもらいたい。
いずれにしろ、福谷投手に関しては、明確な改善点をもって良い投球に結びついているので、昨シーズンの快投がまぐれだったという結果に終わることはなさそうだ。
怪我明けである点は心配だが、今シーズンのドラゴンズの隠し玉として、勝利を積み重ねていってもらいたい。
次回は、長らくお待たせしてしまったが、主演選手賞を発表したいと思う。
もうお分かりであろうか。
受賞したのはキャンプ・オープン戦を通じて、チームの先陣を切って猛アピールをしていた、あの選手である。