今回は、前回少し触れた通り、2018年ドラフト4位・高卒2年目の石橋捕手について書こうと思う。
書いていたら、思いのほか長くなったので、今回は前編として、主にドラゴンズの捕手陣の立ち位置を理解するところから始める。
オープン戦での起用や与田監督のインタビューの中で、現在の捕手陣の役割が見えてきたドラゴンズ。
どうやら首脳陣は、総合力では加藤、守備力では木下、打撃力では郡司を一番に評価している。
その評価について、言葉だけでは分かりづらいので、点数で表してみよう。
捕手で大切なのはまず守備面である。
従って点数の付け方は、守備面2:攻撃面1の比率で付けていく。
さらに守備面については、より採点を正確にするために、「キャッチング」・「スローイング」・「ブロッキング」・「信頼」の4つの内訳をつくる。
ここでいう「信頼」とは、他の選手(特に投手)からの「信頼」である。
「リード」という要素も当然守備面の内訳に入ってくるが、第三者からはリードの良し悪しを評価しにくいため、今回は内訳にいれないこととしたい。
但し、リードが良ければ当然「信頼」は上がるので、全くリードの要素が含まれていないということではない。
<点数の付け方>
守備面:20点満点
内訳 各5点満点 キャッチング・スローイング・
ブロッキング・信頼
攻撃面:10点満点
合計:30点満点
対象の捕手は、加藤・木下・郡司・石橋の4人とする。
では早速、加藤から順に採点してみよう。
■ 加藤
守備:14点
キャッチング:3点 スローイング:5点
ブロッキング:3点 信頼:3点
攻撃:2点
合計:16点
■ 木下
守備:13点
キャッチング:4点 スローイング:3点
ブロッキング:4点 信頼:2点
攻撃:2点
合計:15点
■ 郡司
守備:6点
キャッチング:1点 スローイング:2点
ブロッキング:2点 信頼:1点
攻撃:8点
合計:14点
■ 石橋
守備:11点
キャッチング:3点 スローイング:4点
ブロッキング:2点 信頼:2点
攻撃:2点
合計:13点
16点を頂点に1点差ごとに4人が並ぶ。
首脳陣の評価としてはこのような感じではないか。
正にどんぐりの背比べである…
合計点がトップの加藤は、大野投手から指名を受けていることや、昨年最も出場した捕手であることから、「信頼」が3点でトップ。
但し、トップと言っても3点である。
阪神梅野捕手や広島會澤捕手が5点だとすると、まだまだ低い信頼度。
そのため、ゲーム終盤を任せられる守備型捕手として、「キャッチング」・「ブロッキング」の評価が加藤より高く、見た目の安心感もある木下が浮上する。
これはファンなら気持ちが分かる人も多いはず。
終盤の加藤は怖い。
キャンプ中に2軍に落とされた理由でもあるが、自分に精一杯でチームに安心感を与えることができていない。
それが加藤の欠点である。
それならば木下がレギュラー捕手では?
と思うところ、合計点は加藤のが1点高い。
加藤の鬼肩が5点を稼いでいる。
この辺りが首脳陣も悩ましいところである。
次に郡司だが、攻撃面では他を圧倒する8点。
西武森捕手を10点だとしても、出塁率を含め、セリーグNo.1の打撃型捕手になる可能性がある。
もちろん、まだ公式戦が始まっていないため、郡司の評価は今後一番ブレていくだろう。
それでも現状、捕手3人制を敷いているドラゴンズ。
代打としても機能する郡司の1軍スタートは間違い無いであろう。
また、郡司はルーキーのため、「信頼」は1点としか評価されていない。これは仕方のないこと。
逆に「信頼」が3点になると、合計点で16点となり、トップの加藤に並んでくる。
恐ろしいルーキーが入ってきた…と言いたいところだが、正確に言うと、郡司が捕手の弱い良いチームに入ってきた、と言うことだろう。
阪神梅野捕手・広島會澤捕手は、同じように採点すると25点程度の点数となる。
郡司と同様に打撃評価の高い広島坂倉捕手が、捕手としては1軍で全然出場できていないが、それはそうだろう、という感じである。
合計25点のレギュラー捕手がいる球団の若手捕手は、相当な実力を付けないと出場できない。
捕手とはそういうポジションである。
そんな中、今回の主役石橋康太である。
率直に言うと、私自身の石橋への評価に比べて、首脳陣の石橋への評価は高い、と感じる。
オープン戦での起用をみていると、経験を積ませるためのお試し起用とは感じられない。
真剣に、1軍で通用するかどうかを見極めるための起用である。
このことから、首脳陣の間で郡司に迫る13点程度の評価を得ているのは、間違い無いと思われる。
では、石橋の特徴はいったいどこにあるのか。
そして、今後正捕手を掴むためには何が必要なのか。
石橋康太の現在地、後編へ続く。