今年のドラフト指名はドラゴンズにとって難しい。注目は高校生3投手(小園・森木・風間)だが、昨年ドラフト1位で高卒の高橋投手を獲得しているだけに、今年は指名の可能性が低い。
なによりも、今のチーム事情がそれを許さず、投手よりも野手を強化することが共通認識となっている。
平田・福田・ガーバーの実力難により両翼が崩壊、阿部・高橋・京田の不調により盤石かと思われた内野陣もガタガタ‥
柔軟性の無い起用方針により、A・マルティネスや郡司のコンバートもなく、石垣や土田などの若手起用も限定的、野手陣総崩れ・未来の希望もない中、シーズンは終わりそうだ。
そんなチーム事情もあり、今年は野手中心の指名が予想されるが、大社卒の所謂「即戦力野手」の候補選手が今年は少ない。
ドラゴンズの需要と候補選手の供給がやや噛み合わない中、ドラゴンズはどんなドラフトを見せるのか。
立浪新監督と気持ちを新たに臨む2022年シーズンに向けて、筆者なりの予想を行ってみた。
■ドラフト1位
ブライト 健太(上武大学・外野手)
1位指名でなければ獲得できないほどの絶対的存在が不在の「即戦力野手」を、何位で指名するのか。
ポイントは、「即戦力左腕」と「高卒長距離砲」という、ドラゴンズ第2の補強ポイントに比較的候補選手が揃っているという点だろう。
今年は「即戦力左腕」と「高卒長距離砲」に関し、2位以降でも比較的良い選手が獲得できると踏んだ。
ブライト選手は、素晴らしい能力を持っていそうだが、やや未知数な部分も多い。本来であれば2位指名が適切だと筆者は考える。
しかし、前述の理由の通り、他の補強ポイントは2位以降でも補完できると考え、最大の補強ポイントである「即戦力野手」を、1位指名で確実に獲得することが、ドラゴンズにとってはベストだと考える。
今年は「2位指名クラスの選手を1位〜3位で3名とる」ドラフトだと割り切り、ブライト選手への特攻を予想する。
■ドラフト2位
石森 大誠(火の国サラマンダーズ・投手)
「即戦力左腕」として、先発タイプが欲しい場合は、佐藤投手(筑波大)・隅田投手(西日本工業大)・鈴木投手(創価大)・山下投手(法政大)・山田投手(JR東日本)が候補になるだろうか。桐敷投手(新潟医療福祉大)の評価も高い。
鈴木投手以下は2位で指名できる可能性もあるだろう。
しかし、ドラゴンズに必要な即戦力左腕は、どちらかと言えば中継ぎタイプ。
岡田投手は信頼が置けず、橋本・近藤の両投手はまだ実績がない。ロサリオ投手が機能しなかった今シーズン、福投手に頼り切るしかない1年であった。
中継ぎタイプでいえば、黒原投手(関西学院大)と石森投手に注目しているが、筆者の一押しは石森投手。
元スワローズで五十嵐投手と共に「ロケットボーイズ」として活躍した石井弘寿投手を彷彿とさせるストレートは、打者を圧倒できる威力がある。
独立リーグ出身のドラフト2位と言えば、今シーズン大車輪の活躍を見せる又吉投手が思い浮かぶ。ドラゴンズ独立リーグの系譜は紡がれていくのだろうか。
■ドラフト3位
田村 俊介(愛工大名電・野手)
「高卒長距離砲」も好素材が多い印象だ。吉野選手(昌平)・有薗選手(千葉学芸)・前川選手(智弁学園)・阪口選手(岐阜第一)・阪上選手(神戸国際大附)・田村選手あたりが候補となりそうだ。
前川選手までは、1〜2位指名の可能性も高そうなので、ここは地元愛知の田村選手指名を予想する。
田村選手は投手も兼任しているが、完全に野手評価。癖のない美しい打撃フォームで、将来は本塁打を量産してもらいたい。
ちなみに、田村選手に対し米村スカウトが残した「根尾、石川昂のように先を見据えた評価をしている」というコメントは、昨年指名予定であった内山選手(現スワローズ・星稜高)へのコメントと類似しており、本気度が伺える。
昨年のドラゴンズ3位・土田選手のように、3位・田村選手を軸にドラフト指名が構成される可能性もありそうだ。
■ドラフト4位
山城 響(富士大・内野手)
4位指名は、鵜飼選手(駒澤大・外野手)と迷ったが、ブライト選手を1位指名できた場合は、内野を守れる山城選手を優先したい。
現在のドラゴンズは、三ツ俣選手・堂上選手・溝脇選手と守備型のセカンドが多い。阿部選手も今や守備型と考えた方が適切だ。
打撃に特徴のあるセカンドの加入は、チームに活気をもたらすだろう。
ファン待望の山田健太選手(立教大・二塁手)を来年はドラゴンズに迎入れる予定だが、山城選手は外野も守れるため、大きな問題にはならないだろう。
■ドラフト5位
竹山 日向(享栄高・投手)
ドラゴンズの出世枠、5位指名には地元享栄高校の竹山投手を予想。
予想はしたものの、「高卒投手」は昨年のドラフトで育成も含め5名を指名しているため、今年指名する必要はないかもしれない。
近年では、2018年垣越投手・2019年竹内投手・2020年の5投手と比較的多く指名しているが、入団後の故障も多く、まだその全貌が見えないのが本音だ。
今年は「高卒投手」の指名を避け、彼らの育成に頼っても良いのかもしれない。
そうなった場合は、大卒右腕の赤星投手(日本大)や打撃型外野手で井端氏絶賛の川村選手(國學院大)の指名も面白いし、前述した阪口選手(岐阜第一)や鵜飼選手(駒澤大・外野手)が残っていれば、「野手ドラフト」と割り切って指名しても良いかもしれない。
5位指名により、ドラゴンズの野手補強の本気度が伺えそうだ。
■ドラフト6位
中川 勇斗(京都国際・捕手)
今シーズン、1軍に木下・桂・マルティネス、2軍に郡司・石橋・大野・山下という陣容で戦った捕手陣。
立浪新監督は、マルティネスの外野起用を考えていそうな上、大野・山下両捕手の去就は怪しい。
加えて、郡司選手は遅かれ早かれ外野手にコンバートになると筆者は考えている。
従って、編成的には捕手の指名が必須であり、将来の正捕手・石橋選手をフォローする役割の「高卒捕手」は、ドラゴンズ今年の補強ポイントの1つだ。
筆頭候補には、地元の高木選手(県岐阜商)の名前が挙がりそうだが、捕手としてはやや腰高な点が気になる。守備型の捕手らしい選手をじっくりと伸ばしていく意味では、こちらも愛知出身の中川選手の指名が理想的と考えている。
■育成ドラフト1位
安田 悠馬(愛知大・捕手)
山下選手の去就に直結しそうなのが、安田選手の指名だ。捕手でありながら、打力を活かすため、他のポジションを兼任していく路線になるであろう。
愛知2部リーグでの活躍が、どこまでプロで通用するのか。まずは育成指名で様子を見たいところだ。
さて、全体を纏めると、このような指名になる。
ドラフト1位:ブライト 健太(上武大学・外野手)
ドラフト2位:石森 大誠(火の国サラマンダーズ・投手)
ドラフト3位:田村 俊介(愛工大名電・野手)
ドラフト4位:山城 響(富士大・内野手)
ドラフト5位:竹山 日向(享栄高・投手)
ドラフト6位:中川 勇斗(京都国際・捕手)
育成ドラフト1位:安田 悠馬(愛知大・捕手)
投手2名・野手5名・地元枠4名。サプライズ枠は、2位指名の石森投手だろうか。
ドラフト会議当日まであと1週間。
1年で最もワクワクする1日がもうすぐやってくる。