阪神タイガース伊藤隼太選手と接触したとして、ドラゴンズの2選手が自宅待機となった。
せっかくキャンプで作り上げてきた身体がリセットされてしまいそうで、残念で仕方がない。
しかしこんなご時世である。症状がなければ自宅待機の約1週間、この暇な時間を、有意義に活用してもらいたい。
球団としては、対戦相手のデータや動画、自己分析できる情報、若しくは有意義な書籍など、選手が少しでもポジティブな時間を過ごせるよう工夫をしてもらいたい。
ファンとしても選手名が分かれば、勝手に動画を編集し、勝手に分析し、勝手にアドバイスを送りたい。何より活躍を心待ちにしていることを、伝えたい。
2名の選手だが、今のところ名前は公表されていない。
しかし相手が阪神の伊藤隼太選手だということで、ファンの間でも同じ中京大中京高校出身の選手の名前が頭に浮かんだであろう。
伊藤康祐
少なくとも後輩として挨拶はしていたに違いない。2名に含まれていなくても、体調が心配である。
さて、今回はそんな心配な気持ちを明るい期待にかえるため、伊藤康祐外野手(20)について書きたいと思う。アカデミー賞の発表はお休み。
伊藤康祐選手は、地元愛知の中京大中京高校出身の2017年ドラフト5位、今年で3年目を迎える外野手である。
昨年1軍で初めてプレーし、計18試合に出場。東京ドームでのファイト溢れる守備はファンの心に強烈な印象を残した。
そんな伊藤選手、今年も2軍でのプレーが中心になると思われるが、偶然の出会いが彼を開花させるかもしれないと、密かに期待をしている。
その偶然の相手は、今年1軍から2軍打撃コーチに就任した波留敏夫である。
この2人、当然本人達も気付いていると思うが、ポジション・利き腕・プレースタイル・体型、ほぼ一緒である(Wikipediaの身長体重同じ!)。
波留コーチの手腕については、正直よくわからないが、伊藤選手の将来目指すべき選手像は、まさに現役時代の波留コーチであるように思う。
1998年、マシンガン打線で日本一に輝いた横浜ベイスターズ。
1番石井琢朗・2番波留・3番鈴木尚典・4番ローズ・5番駒田の打順を覚えている方は多いだろう。
この年、盗塁王・最多安打・ベストナイン・ゴールデングラブを受賞した石井琢朗、首位打者・ベストナインを受賞した鈴木尚典の活躍は実に華々しかった。
だが、その2人の間で走攻守ともに相手にとって嫌らしい働きをした波留もまたチームには不可欠な選手だった。
波留の成績を確認すると、24歳のシーズンに54試合に出場し、レギュラーへの足場を築き、25歳で初の規定打席到達、同時に打率3割を記録している。
以降レギュラーとして3割弱の打率を残し続け、キャリアハイは29歳の年、打率.298・ホームラン15本・打点70・盗塁21を記録している。
一方、波留と同じく俊足巧打タイプの伊藤だが、打撃の特徴はセンター方向への素直なバッティングであり、小力があるためセンターオーバーの長打も放つ。
守備はまだ安定感に欠けるが、一番の長所は走力にあり、盗塁数も増やしていける脚力がある。
本人は、今年の目標として二塁打の量産を掲げているが、自分の目指す姿を認識しているとても好感の持てる目標設定だと感じた。
今回は関係ないが、同じく成長が期待される石垣選手は、今年の目標として逆方向への強い打球をあげていた。
個人的に全く理解できないと思っていたところ、キャンプでの結果もついてこなかった。
彼は昨年掴みかけたプルヒッティングを、まずは突き詰めるべきである。
話を波留コーチに戻すが、与田監督就任後、コーチ陣も入替が進んでおり、マシンガン打線の一員であった谷繁元監督との繋がりでコーチに就任した波留コーチも、もしかしたら今年が最後の年かもしれない。
逆に言うと、今年もコーチに残留したことは伊藤にとっては偶然の賜物であり、波留にとって伊藤は最後の教え子ともなりかねない。
ちなみに、マシンガン打線の主軸を担った石井琢朗は、波留と同世代である。
また、同じく鈴木尚典は波留の2つ年下であった。
期せずして、今のドラゴンズには伊藤の1つ年下に根尾昂。2つ年下に石川昂弥がいる。
将来の打線の主役は揃いつつある。
しかし、打線は主役だけでは威力を発揮しない。
リーグ優勝はそんなに甘くないと、これまた期せずして今のDeNA打線が証明してくれている。
伊藤選手には、将来ドラゴンズを優勝に導く重要な選手になるために、今年、波留の全てを吸収し成長してもらいたい。