監督交代の心配は杞憂に終わり、来年も立浪監督体制で臨むことが決定した中日ドラゴンズ。
何かを変えなければ、来年も低迷が続く可能性が高い中、9月頃から明らかに変化が見られるものがある。
それは、投手継投である。
これまでは、どちらかと言うと投手を信用する継投が多かった。先発には、勝ち投手の権利が付くまで続投させる(例えば、同点の6回表に先発投手が一死満塁のピンチを作っても、交代すれば先発に勝ち投手の権利が付く可能性がなくなるため、基本は先発投手の続投)。中継ぎには、途中でピンチを迎えたとしても、基本的には1回を1人に任せる。
この起用法は、悪く言えば投手に優しすぎる采配であり、チームの勝利よりも個人の勝ち星やコンディションを優先させているように映った。
それが、9月頃を境に、所謂『マシンガン継投』に変化した。先発を無理に引っ張りはせず、中継ぎを積極的に投入。時には中継ぎを1イニングに4人や5人を注ぎ込むなど、極端すぎる程の変わり方だ。
こちらも悪く言えば、中継ぎの酷使であり、勝ち投手の権利目前に交代となる先発投手にとっては、不満が溜まるかもしれない。
しかし、今のドラゴンズにとって必要な采配は、明らかに後者であると筆者は思う。
チームの勝利を最優先に考え、勝ちに向けた執念を采配を通じてチームに伝えていくこと。また、ドラゴンズが上位に進出するためには、ストロングポイントである投手陣を最大限に活用し、相手に1点も許さない盤石な投手陣の整備と、それを活かす積極的な采配が必要である。
消化試合となったこの時期に『マシンガン継投』をすることに批判があるのも分かる。1イニングに5人は明らかにやりすぎである。
ただ、齋藤綱記やフェリス・松山などの新戦力の台頭により、ようやく『マシンガン継投』ができる土台が整ってきた今、立浪監督は来年に向けて、継投のイメージを膨らませているように映る。
ここからは憶測に過ぎないが、9月頃を境に、恐らく投手采配の主導権が、落合コーチから立浪監督に移ったのだろう。ここ最近、落合コーチに代わり大塚コーチがベンチ入りしている事実とも無関係ではないはずだ。
崖っぷちに立たされた立浪監督が、自身のパートナーとして選んだ落合コーチに見切りをつけ、チームの勝利優先の投手起用に変えようとしている。
吉とでるか凶とでるかは分からないが、筆者はこの変化をポジティブに捉えている。来年は、今年以上に中継ぎの陣容を整備し、シーズン序盤から勝ちにこだわる『マシンガン継投』を見せてもらいたい。
◾️来シーズン期待のマシンガン継投メンバー
◎ 勝野・藤嶋・フェリス・齋藤綱記・松山・Rマルティネス
◯ 清水・福・祖父江・岩嵜・アルバレス・福島・森・橋本・砂田