衝撃的なトレード2連発で全体像が見えづらくなっているが、ドラゴンズは補強ポイントの選手獲得を続けている。改めて、補強ポイントは以下の4点。
①先発投手
②中継ぎ左腕
③動ける二遊間
④長距離砲
この4点を、ドラフト・外国人・トレードで埋めるのが、立浪ドラゴンズのオフシーズンの任務だ。
まずはシーズン中、恐らく京田選手のトレードに動いていたのだろう。出た結論は立浪監督のセリフから分かる。「どこの球団もトレードしようとしても二塁手、遊撃手は出してくれない」。
外国人の二遊間は考えづらいことから、ドラフトの戦略が確定した。
「二遊間中心の指名」
全体的なドラフト不作年であった今年だが、唯一候補が多かった即戦力二遊間を、まとめて獲得した。
逆に、ドラフトでの即戦力投手が1位の仲地投手のみとなり、先発投手・中継ぎ左腕の補強が外国人またはトレードに絞られた。
ドラゴンズには、既に中継ぎのロドリゲス・マルティネスがいるため、中継ぎ左腕は自動的にトレードでの補強となる。
そのため、京田-砂田のトレードは想像に難くなかった。筆者は石田投手とのトレードを予想していたが‥
そして、長距離砲は当たり前だが外国人となる。立浪監督が直接ドミニカウインターリーグを視察。
ドラフト・トレードと三位一体となる新外国人補強のニュースは、近々飛び込んでくるだろう。
問題は先発投手である。今年のドラゴンズが失速した原因は、勝野投手と石川昂弥選手の故障離脱であった。
勝野投手の抜けた先発5-6枚目は、シーズン終盤に上田投手が頑張りを見せるまで、チームの目に見えた弱点となった。
来シーズンを見据えても、高橋・小笠原・柳・大野に次ぐ先発5-6枚目の確保は大きな課題。7-8枚目に松葉・藤嶋が控える布陣にはしておきたい(来シーズンは藤嶋投手が先発へ、勝野投手が中継ぎへと配置転換されると予想している)。
そのうち1枚は外国人補強とみる。そもそも先発の外国人を補強しないと、外国人枠が1つもったいない。
そしてもう1枚が、涌井投手である。
しかし、阿部-涌井のトレードは驚いた。
確かに、来シーズンの布陣を考えた時に、阿部選手は浮いていた。
動ける二遊間を作ろうとする立浪監督の中で、阿部・高橋周平はともに三塁手の位置付けとなっており、本命の石川昂弥がいることを考えると、どちらかは余剰戦略となってしまう。
余剰とはいえ長いシーズンを考えるれば、“いる”に越したことはないが、先発ローテ1枚との交換となれば、話は別かもしれない。
また、使い勝手の良い阿部選手を切ることで、立浪監督は自分への甘さを排除したようにも映る。
今シーズン学んだこととして立浪監督は「我慢すること」を挙げた。筆者からすれば充分若手を我慢して起用したシーズンだと感じたが、指揮官はまだ「我慢が足りない」と感じていたようだ。
我慢を遮る要因。それこそが阿部選手の存在であり、立浪監督の理想とする「強固なセンターラインを持つチーム」の構築を遅らせる原因なのであろう(阿部選手が悪いわけではなく、隙あればセカンドでも使いたくなる。それだけ頼りになる存在という意味である)。
兎にも角にも、やや強引に補強ポイントの選手獲得を進めるドラゴンズ。成功するか否かは分からないが、劇的に変えなければ来シーズンもBクラス。最下位のチームが変化を恐れる理由は全くないだろう。