沢村賞の失墜
雨での中断を挟む展開の試合では、先制点をとることが重要である。言うまでも無い、試合が途中で打ち切られる可能性があるからだ。
定石通りに初回、送りバントを使って幸先よく2点を先制したドラゴンズ。
しかし、そのリードを先発大野投手が守れない。試合成立のため最も重要となる5回裏に、あっさりと2点を失い逆転を許す。試合はそのまま6回に終了した。
勝負感の無いエースのピッチングに加え、打たれた後の「まだまだ5回だ」と余裕を見せるその表情に、筆者は憤りさえ湧いてきた。
5回をラストイニングだと思い投じる気持ちがあったら、結果は180度異なっていただろう。
技術ではなく準備と気持ちで負けた、今シーズンワーストの敗戦である。
■主演選手賞
該当なし
■助演選手賞
三ツ俣 大樹 選手
先制点につながる1打席目の送りバント、2打席目のレフト前ヒットからツーベースとなる好走塁。
役割を全うする素晴らしい内容であった。
大野 雄大 投手
最も楽に勝ち投手となれた試合が、自身の不甲斐ない投球により黒星に変わった。
「雨の中断が重なり難しい試合であった」と片付けるならば、沢村賞の権威は失墜する。
さて、ウエスタンリーグでは若竜たちが首位ソフトバンクに見事な逆転勝ち。
中でも最近良い内容を続けるのが4年目の石川翔投手。投球フォーム見直しの期間を経て、最近また登板回数を増やしているが、課題のコントロールが大きく改善している。
元々、テイクバックで右肩を大きく下げるピッチングフォームのため、球の高低が安定しなかったが、身体を横回転で使い出してから高低が安定してきた。
その影響で、左右にコントロールがズレ、今日も左打者に死球を与えていたが、課題であった高めに抜けるボールはなくなってきている。
フォームが安定してくれば、今シーズン1軍で見られるかもしれない。くれぐれも怪我には気をつけてもらいたい。