ドラゴンズ辛抱の1週間も、今日は束の間の休日。
ウエスタンリーグでは、早期の1軍合流が期待されるジャリエル投手とアリエル選手が揃って出場した。
ジャリエル投手は終始荒れ気味の投球内容。ただ1軍昇格1番手としては梅津投手がいるだけに、もう数試合2軍で調整を行う余裕があるので問題は無いだろう。
急がれるのはビシエド選手の穴を埋めるアリエル選手の調整の方。こちらは文句なし2安打1本塁打と、遅くとも来週には1軍昇格がありそうだ。
少し気になるのはアリエル選手のファースト守備。当然慣れないポジションではあるのだが、昨年から今日のプレーを見る限り下手である。
どうせ下手なら外野手に挑戦した方が、ビシエド選手復帰後のチームを見据えると有意義な気がするが、今のところその気配はないようだ。
さて、ドラゴンズは若手が育たないと言われるが、2軍レベルを突破した若手がいるのは間違いない。
それは、昨年打率.372・5本塁打を記録し、今年もこれまで打率.464・2本塁打を記録する石垣雅海選手であり、今日も特大の本塁打を放った石橋康太選手である。
その他にも、昨年の実績から考えると石川昂弥選手や岡林勇希選手が今年2軍で突き抜けた成績を残しても不思議はない。
問題はやはり1軍の壁。出場機会が極端に少ないだけに、今年の根尾選手のように我慢して起用される場面がなければ中々アピールは難しいだろう。
今後彼らが1軍で活躍していくイメージを掴むために、ここでカープ・坂倉選手の成長事例を見てみよう。捕手でありながら様々なポジションを経験し、特徴の打撃を活かしている姿は、近年のセ・リーグだと最もイメージしやすい成長事例だ。
坂倉将吾選手(2016年ドラフト4位・高卒)
■2軍成績
2017年:打率.298・1本塁打・OPS.759(99試合)
2018年:打率.329・4本塁打・OPS.919(58試合)
2019年:打率.327・2本塁打・OPS.885(32試合)
2020年:打率.250・0本塁打・OPS.500(1試合)
■1軍成績
2017年:打率.250・0本塁打・OPS.500(3試合)
2018年:打率.125・0本塁打・OPS.472(9試合)
2019年:打率.230・1本塁打・OPS.610(51試合)
2020年:打率.287・3本塁打・OPS.758(81試合)
坂倉選手が1軍の壁を破ったのは、2020年シーズンであろう。2019年までは2軍レベルは突破するも、1軍に定着するまでには至らなかった。
それでも、正捕手・會澤選手との併用や外野起用などで着実に頭角を現し、今やカープでクリーンナップを打つ実力を持つ選手に成長した。
さて、ドラゴンズの石垣選手・石橋選手はどうだろうか。
石垣雅海選手(2016年ドラフト3位・高卒)
■2軍成績
2017年:打率.197・3本塁打・OPS.530(60試合)
2018年:打率.183・1本塁打・OPS.490(100試合)
2019年:打率.243・5本塁打・OPS.655(81試合)
2020年:打率.372・5本塁打・OPS.988(40試合)
■1軍成績
2017年:打率.000・0本塁打・OPS.000(1試合)
2018年:出場なし
2019年:打率.133・0本塁打・OPS.400(15試合)
2020年:打率.121・1本塁打・OPS.359(25試合)
坂倉選手と同期入団の石垣選手だが、ここまでの成長は坂倉選手から1〜2年遅れていることが分かる。
今シーズン、2軍で突き抜けた成績を残し、1軍でもOPS.610(51試合)に近い数字を残せれば、坂倉選手の2019年シーズン成績に匹敵することになり、来シーズン1軍の壁を破る可能性が高いだろう。
つまり、2軍で無双しても翌年はまだ1軍の壁を破れない。坂倉選手が証明してくれている通りだ。焦る必要は無い。
石橋康太選手(2018年ドラフト4位・高卒)
■2軍成績
2019年:打率.186・4本塁打・OPS.628(46試合)
2020年:打率.294・3本塁打・OPS.817(53試合)
■1軍成績
2019年:打率.059・0本塁打・OPS.288(12試合)
2020年:出場なし
石橋選手は、坂倉選手には及ばないものの、これまでは2軍で素晴らしい成績を残している。順調にいけば、坂倉選手とほぼ同じ成長曲線を描き、4年目となる来シーズンには1軍の壁を突破してくる可能性がある。
ここでポイントとなるのは守備位置になる。石橋選手の捕手としての守備能力は非常に高いが(坂倉選手よりも上であろう)、打撃を活かすためにサブポジションを練習しても損はない。
どちらにせよ、現時点で出場機会がほぼない1軍にいる必要は無さそうだ。
ゆっくりかもしれないが着実に成長を遂げるドラゴンズの若手選手たち。明るい未来は、もうすぐそこまで来ている。