柔軟性の高さこそが魅力
はっきりとした決断力が立浪監督の特徴。
就任会見から、チームの方針・自身の役割について明確に言い切ってきたことは、その象徴だ。
「打つほうは何とかしたいと思う。」ではなく、「打つ方は何とかします。」と言い切ってきた。
その分かりやすい言動は、野手の起用方針にも及んだ。
「岡林と石川昂弥は我慢して起用します。」
「根尾は外野1本でいかせます。」
「今年は外野でいくと岡林に伝えた。」
「ライトは守備力、レフトは打力を重視する。」
言い切るからには、その方針を最後まで貫くことが最も美しい。悪い意味で頑固な指揮官であれば、頑なに方針を変えない者もいるだろう。
ところが、立浪監督は異なる。
良い意味で柔軟、明言した方針を変えることができる。しかも短期間で。
今日の衝撃的なニュースは「根尾、ショート再挑戦」。外野1本で臨む方針を、開幕1ヶ月経たずに転換した。
冷静に考えると妥当な判断である。
両翼は、岡林・マルティネス・鵜飼。高橋周平合流後は阿部も参戦する。控えは平田や加藤で問題がなく、根尾の出る幕はほぼない。
一方でショートは京田のライバルが不在。しかも、2〜3年後に京田を脅かしそうな若手有望株すらいない。強いて挙げれば5年後に土田。
堂上・溝脇・三ツ俣をレギュラーに育てるという考えは、3年後を見据える立浪監督にはないだろう。
気の早い筆者は、今年のドラフト、2位までに即戦力ショートの指名が必須だと考えてきた。
その矢先での「根尾、ショート再挑戦」。
ドラフトの秋を待たずして、立浪監督はショートの“補強”に動いた。判断が素人の先の先を行く。
不調の岡林に代わり、2番ライトに鵜飼を起用している柔軟性もしかり。当初荒木コーチとともにセカンドでの起用を考えていた石川昂弥を、恐らくは他のコーチとの議論の結果、サードに固定している柔軟性もしかり。
大局を見て、柔軟性高く、短期間で判断する眼力は特筆に値する。
だからといって、方針をコロコロ変えているわけではない。
最近スタメンを外れている岡林については、我慢し続ける方針を変えてはいないだろう。
断言できる、スワローズ戦で休息した岡林は、明日のジャイアンツ戦、必ずスタメン出場だ。
この指揮官がいる限り、ドラゴンズは中長期的に必ず、強くなる。