ドラフト会議の熱狂が覚めない。今年も興奮と驚きに満ちた1日があっという間に過ぎ去っていった。
今年のドラゴンズのドラフト指名。結果を受けての第一印象は「高卒多いな!」である。そして、しばらく経った今の印象は「福島投手と三好選手の指名を前提としたドラフトをした」という理解である。
まずは、筆者の予想の答え合わせから。
■予想(『ドラフト会議考察(final指名編)』参照)
1位:高橋 宏斗 投手(中京大中京高校・右投右打)
2位:五十幡 涼汰 外野手(中央大学・右投左打)
3位:小野 大夏 投手(Honda・右投右打)
5位:池谷 蒼大 投手(ヤマハ・左投左打)
■結果
1位:○高橋 宏斗 投手
2位:✖️森 博人 投手(日本体育大学・右投右打)
4位:✖️福島 章太 投手(倉敷工業高校・左投左打)
5位:✖️加藤 翼 投手(帝京大可児高校・右投左打)
6位:✖️三好 大倫 外野手(JFE西日本・左投左打)
正解したのは分かりきっていた高橋投手のみ。情けないくらい当たらず、悲しい結果に終わった。まさか小野投手(Honda)が指名もされないなんて、夢にも思わなかった。
さて、切り替えて指名の感想を書いていこう。
指名後のバイアスがかからないように、ドラフト会議前の率直な印象をまじえて述べる。
まずは2位の森投手。地元の選手だけあり早くから上位指名候補として名前が上がっていた投手だが、筆者のメモには「評価が難しい」と書いてある。
投球フォームが非常に独特な上に、最速155キロという肩書が付いており、かつ日体大のイメージも相まって、当初のイメージは“豪腕投手”。だが、どちらかというとストレートの繊細なコントロールが武器のように見え、腕の振りが速いため打者が振り遅れているケースが目に付く。変化球がまだ不安定に見えたため、全体として評価し辛かったのを記憶している。
ちなみに、筆者のメモは相当辛辣な言葉も並んでいるため、「評価が難しい」は決して悪い評価ではない。
次に3位の土田選手。こちらは中山選手(中京大中京高校)・高寺選手(上田西高校)とともに高卒遊撃手として高く評価しており、指名に驚きはない。
ただ、ジャイアンツ3位指名の中山選手も含め、3位に指名されたのは予想よりもやや早かった。元山選手(東北福祉大学)などの即戦力遊撃手の評価が低かったことが要因だと思われる。
4位の福島投手は、育成2位の上田投手(享栄高校)と併せて、「垣越投手に似てるから指名されないかな」と思った記憶がある。垣越投手が悪いのではなく、同じタイプを同じ年代に重ねても仕方ないという意味で、である。但し、どちらの投手も投球フォームとコントロールが良いなという印象はあり、あとは球の強さ次第だと感じている。
続いて5位の加藤投手だが、正直筆者の評価は低かった。投球フォーム全体ではなくリリースする際の手首のスナップだけで球をコントロールしているように見え、コントロール(特に高低)の矯正ができるのか不安を覚えている。
但し、この球速でコントロールが良ければドラフト上位指名である。これからの成長には一番期待したい投手だ。
最後に6位の三好選手は、、、知らなかった。ごめんなさい。
総論として、まず気になったのは三好選手の指名。『隠し玉』ともいえる外野手を用意してたということは、上位で外野手を獲るつもりがなかった、若しくは指名したい選手は他球団に獲られる可能性が高かったと想像できる。
筆者は、五十幡選手だったのではないかと考えている。
次に福島投手の指名。4位で即戦力投手を指名できたにも関わらず、福島投手を指名したのは、単純に即戦力左腕が上位で立て続けに消えたことが理由ではないだろう。そもそもドラフト前から4位で即戦力左腕を指名できる可能性は薄かった。
ということは、4位の福島投手はドラフト前の想定通りと見た方が納得がいく。3位は即戦力左腕よりも高卒遊撃手を優先したということ。そして、下位指名が可能であった即戦力左腕の池谷投手(ヤマハ)や山本投手(中京大学)よりも福島投手を高く評価していたというこであろう。
つまり、今年のドラフト会議は「福島投手と三好選手の指名を前提としたドラフトをした」ということであり、その場凌ぎの指名ではないことだけは確かなように思う。ドラゴンズはきちんとした戦略の元に指名を行った。
どちらかというと、補強ポイントよりも選手の能力を重視したドラフトとなった今回の指名。選択の是非はすぐに分かるものではないが、指名された選手たちを、筆者は全力で応援するだけだ。
これからドラゴンズの一員となる選手たちに、大きく期待したい。