今回は、前回のブログにて助演選手賞に選出した武田選手を中心に、ドラゴンズの控え野手起用法について考えていく。
現在のドラゴンズ野手陣は、良くも悪くもスペシャリストが少ない。
逆に言うと、オールラウンダータイプの選手が多いのだ。
野球ゲームの能力に例えると、A-C-D-Dみたいな選手が少なく、B-B-B-BとかC-C-B-Cとかの選手が多い。
周平選手や阿部選手、平田選手などが正にオールラウンダータイプの選手だ。
これはこれで平均点が高いため問題は無いのだが、事控え野手に関しては、スペシャリストが少ないことはチームにとっての弱点である。
控え選手には代打・代走・守備固め等、明確な役割が与えられることが多い。
そこでその部門のスペシャリストが控えていれば、こんなに心強いことはない。
例えば、代打要因として立浪、代走要因として荒木、守備要因として英智が控えていた方が、周平が3人控えにいるよりも相手チームにとっては脅威である。
そういう意味では、武田選手は守備のスペシャリストである。
外野全てのポジションを守れるのも大きな強みだ。
昨年まで外野の守備固めとして起用されていたのは遠藤選手。
正直、遠藤選手の守備が上手いと思ったこと、肩が強いと思ったことは一度もない。
下手ではないのだが・・・
ちなみに遠藤選手は代走要因としてもよく出場していたが、走力も決して相手の脅威とはなっていなかった。
これは遠藤選手が悪いのではない。
遠藤選手をスペシャリストとして起用しなければならなかった、ドラゴンズ野手陣の層の薄さの問題である。
遠藤選手は、どちらかというとオールラウンダータイプの選手だ。
攻・走・守のバランスが取れている選手である。
このまま遠藤選手について語ると長くなってしまうので、遠藤選手については近々「一番星の輝き方」にて詳細を書くこととしたい。
武田選手のような守備のスペシャリストがいる場合、試合中の選手交代でポイントとなるのは、最後まで守備のスペシャリストを起用しないことである。
僅差の試合では特にである。
当たり前のことを書いているように見えるが、昨年のドラゴンズはこれができていなかった。
理由は大きく2つある。
1つ目は、途中加入の武田選手の評価が定まらず、遠藤選手との起用方法について首脳陣の間で迷いが見られたこと。
2つ目は、右の代打がいなかったことである。
(左の代打としては井領選手が奮闘していた。)
実は、最後まで守備のスペシャリストを起用しないためには、他の代打陣の充実が不可欠なのである。
昨年は、守備のスペシャリストである武田選手が代打として出場し、守備につかずに交代するというチグハグな起用法が見られた。
そのような視点で見ると、守備のスペシャリストとして武田選手を起用することを可能にするには、武田選手より打力が高い控え野手(しかも右打)、候補としては石川駿選手・堂上選手・郡司選手(捕手だが代打起用が想定される)の活躍が重要である。
しかし、このうち堂上選手は内野守備のスペシャリストであるため、位置づけは武田選手と同じである。
さらに郡司選手はスタメン出場している可能性もある。
となると、ドラゴンズ控え野手をより効果的に起用するキーマンは、実は石川駿選手なのではないかという考えが浮上してくる。
昨年も石川駿選手が右の代打として活躍をしていれば、武田選手や遠藤選手を守備のスペシャリストとして起用することが可能であったはずだ。
ちなみに、石川駿選手はファースト守備に関してとても上手だが、ビシエド選手の守備力、福田選手・堂上選手も高いレベルで守れることを考えると、チームとして守備のスペシャリスト枠ではない。
分かりやすく整理すると、ドラゴンズ控え野手の位置付けは以下のようになり、この中から開幕の控え野手6人(捕手を除く)が選ばれることとなる。
■守備のスペシャリスト
内野:堂上選手 外野:武田選手
■代打のスペシャリスト
アルモンテ選手(若しくは福田選手のどちらかスタメンではない方)
■代走のスペシャリスト(残念ながらそこまで実績のある選手がいない)
候補:渡辺選手・溝脇選手
■オールラウンダー(若しくはスペシャリストになりきれていない)
井領選手・遠藤選手・石川選手
そして首脳陣に認識してもらいたい代打の優先順位は以下の通りである。
前述の通り、守備のスペシャリストの優先順位は最後に置きたい。
(代走のスペシャリストも同様であり、優先順位は最後である。)
■代打の優先順位
右打:アルモンテ選手 >(郡司選手)> 石川駿選手 > 堂上選手・武田選手
左打:アルモンテ選手 > 井領選手・遠藤選手 > 渡辺選手・溝脇選手
この起用法が可能になれば、昨シーズンよりも一段階上の控え野手陣を構築できる。
試合終盤の戦い方が変わってくるはずだ。
僅差の試合の9回裏。
堂上-阿部-高橋-京田-武田-大島-平田の『中日ドラゴンズファイナルフォーメーション2020』が多くの試合で見られことを期待したい。
最後に、武田選手が守備のスペシャリストというのは、あくまでも今シーズンの話である。少ない打席でアピールし、目指す場所はもちろん大島・平田両選手に代わるレギュラーポジションである。