また少し寄り道してしまいましたが、本ブログでは、キャンプから現在までの中日ドラゴンズアカデミー賞を発表しています。
これまで発表済みの各賞受賞選手は以下の通りです。
■新人賞:岡野 祐一郎 投手
■ベテラン・中堅選手賞:石川 駿 選手
■若手選手賞:石橋 康太 選手
■ゴールデンラズベリー賞:小笠原 慎之介 選手
残る賞は、助演選手賞(2名)と主演選手賞(1名)です。
さて本日は、助演選手賞1人目の発表です。
■助演選手賞
武田 健吾 選手
昨シーズンの途中、オリックスからトレードで移籍してきた武田選手。
キャンプ1軍スタートを掴むと、攻守両面で大きなアピールに成功した。
そもそも昨シーズンは起用方法が可哀想であった。
ドラゴンズのチーム事情から、前評判の高かった守備機会での起用は限られ、代打での起用が主だった。
また、限られた守備機会でも、守備力がアピールできる難しい打球や、強肩をアピールできるバックホームを誘う打球が、全くと言っていいほど飛んでこなかった。
その結果、初年度の印象は「長打力はあるがコンタクト率が低い打者」という、皮肉にもトレード相手であった松井祐介の印象と変化のないものであった。
シーズンが変わり今年、キャンプ・オープン戦を通してまず目についたのは、守備力の高さ・・・ではなくまたしても長打力であった。
練習試合からホームランをかっ飛ばし、どちらかというと大振りするよりもコツコツ当てにいくスイングが多いドラゴンズの打者の中で、異彩を放っていた。
村上打撃コーチは、ドラゴンズのコーチになる前、解説の仕事でオリックスを担当していた。
武田選手をトレードで獲得した背景には、村上打撃コーチの推薦があったと推測できるのだが、解説者当時から武田選手の打撃面にも注目していたようだ。
たしかに、粗削りであり変化球を空振りするケースが多く、スイングに不器用さを感じるが、当たれば飛ぶというのは大きな魅力である。
そして、キャンプ・オープン戦の中盤から、ようやく前評判通りの守備力の高さを確認することができた。
1試合に2回バックホームで走者を刺す場面が見られるなど、特に強肩は印象に残る。
若手の根尾や岡林も含めて、しばらくチームにいなかった強肩外野手が守備につくと、ドラゴンズのファンはワクワクするものだ。
福留・アレックス・英智の時代のワクワク感が懐かしい。
武田選手の投げ方を見るに、非常に器用な外野手であることが分かる。
捕殺率の高い外野手には大きく分けて2通りの投げ方がある。
1つ目は自肩の強さを活かしたレーザービームタイプの投げ方である。
前述のアレックス選手や英智選手、イチロー選手なんかがこれに該当する。
モーションは少し大きいが、ノーバウンドで低弾道の送球がミットに突き刺さる。
2つ目はモーションの小さなコントロールタイプ(以下、クイックモーションと呼ぶ)だ。
元内野手の選手が多かったりするが、元中日の和田選手や、現在でいうと平田選手がこちらのタイプの投げ方である。
モーションの後ろが小さいため、強烈な送球とはいかないが、捕ってから投げるまでが早くコントロールもつきやすい。
武田選手は、基本的には前者のレーザービームタイプの投げ方である。
しかし同時に、クイックモーションとの使い分けができる。
物理的に、レーザービームタイプの投げ方を行うには、余裕のある助走が必要である。
勢いをつけて捕球し、その勢いのままに全力で送球する。
そのため、捕球体勢が悪い場合には使えないし、無理に使おうとすると、勢いをつける時間の分だけ遅くなる。
よって捕球体制が悪い場合には、クイックモーションで中継まで返球するのがベターである。
但し、クイックモーションの投げ方ができない外野手は意外と多く、中継までの返球であっても、モーションの後ろが大きい選手はとても多い。
逆に言えば、元々クイックモーションの平田選手などは、捕球体勢が悪くても、中継無しで素晴らしい返球が内野まで返ってくる。
武田選手はクイックモーションもしっかり使うことができる。
状況に応じて最も効率の良い投げ方を選択できる器用さを持っている。
シーズンが始まってからも、綺麗なバックフォームで走者を刺す場面だけでなく、難しい体勢から素早い球離れで走者を刺すシーンも見られそうだ。
このように打撃と守備、どちらもアピールに成功した武田選手。
予定通り開幕していれば、1軍スタートは間違いなかったであろう。
次回はその武田選手を活かすべく、控え野手の起用法について記載したいと思う。
遠藤選手という立ち位置の難しい選手がいることがポイントである。