2020/6/28 対広島カープ
結果は3-10でドラゴンズの大敗。
次世代のエース候補と目される梅津投手と森下投手の先発で始まった注目の一戦は、梅津投手が5回7失点と早々に崩れる一方、森下投手はあわや完封という見事なピッチング。
軍配は森下投手にあがった。
ドラゴンズは中継ぎ陣もつかまり、今シーズン最多タイの10失点。
昨日の勢いを勝利に結びつけることはできなかった。
■主演選手賞
該当なし
■助演選手賞
石川 駿 選手
途中出場で嬉しい2安打。
試合の勝敗は決した後だったが、今後右の代打の筆頭として、良い場面でのタイムリーヒットが期待される。
梅津 晃大 投手
球種の多彩さ、低めへのコントロール、ストレートの強さ、マウンド上での落ち着き、スタミナ。
どれをとっても今日は森下投手のが梅津投手よりも優れていた。
逆に、梅津投手にとっては今後の課題がたくさん見えた登板であった。
今日の梅津投手は、序盤からスライダーが真ん中に集まり、ストレートも簡単に痛打される。
先制点を取られてからは、冷静さを失い、フォームにも明らかに力みが見られる。
力んだ分さらにコントロールが乱れ、次々と追加点を献上。
1塁への暴投未遂が2度あるなど、ファンが描く姿とはかけ離れたピッチングを披露してしまい、皆の期待を裏切る結果となってしまった。
途中からは、四死球で自滅しているわけではないのに、いわゆる『独り相撲』、まるで1人で試合をしているかのように、マウンド上で孤立して見えた。
恐らく、森下投手に負けられないという気持ちも強かったのだろう。
失点する度に見せる悔しさを噛み殺したような表情から、テレビの画面越しでも気持ちが伝わってきた。
明治大学の主将として、重要な試合をたくさん経験してきた森下投手に比べ、梅津投手はプロ入りするまでの実戦経験が少ない投手だ。
ピンチになった時の対応や、打たせて取る投球術、調子が悪いなりにゲームを作る能力。
まだまだ学ぶことは多い。
ただ1つ。
今日の試合で見えた課題の中でも、今後も失わないでほしいものがある。
それは、マウンド上での『熱さ』である。
もちろん、熱くなることは、良いことばかりではない。
熱くなることで、周りが見えなくなり自らを苦しめることばかりか、野手にも嫌な雰囲気は伝染する。
今日の梅津投手に至っては、守ってる野手の好プレーでさえ、目に入っていないようだった。(セカンド阿部選手の好捕のシーンである。)
しかし、梅津投手にとっては、その『熱さ』こそ、今後の成長の源になると筆者は思っている。
打たれてヘラヘラと苦笑いを浮かべる投手もいる。
表情を全く変えない投手もいる。
逆にこれだけ悔しさが表情に滲み出る投手は珍しい。
今のドラゴンズで言うとロメロ投手くらいしか浮かばない(ちょっと露わにし過ぎだが・・・)。
課題がその『熱さ』だとしても、変に冷静になる必要はない。
熱い気持ちのまま、成長すれば良いのだ。
若かりしカープの鈴木誠也選手が、悔しさを表に出し過ぎて緒方監督や周囲に諭されたのは有名な話だ。
悔しいなら、悔しい気持ちを感じる必要のない程の圧倒的な力をつければ良い。
梅津投手には、それができるメンタルとポテンシャルが備わっている。
昨シーズン、梅津投手が唯一黒星を喫した相手も、今日と同じカープであった。
その試合後、梅津投手はこんなコメントを残している。
「負けた投手の気持ちが初めて分かった。むちゃくちゃ悔しいですし、その悔しさが強いです。」
今日の試合の悔しさもまた、梅津投手を一回り成長させてくれるはずだ。
今日の試合『独り相撲』のように見えた梅津投手の立つマウンドが、近い将来『独壇場』へと変わるように。
プロの世界の中でひとつずつ成長していってほしい。